日本カイロプラクティック徒手医学会 JSCC

役員挨拶

日本カイロプラクティック徒手医学会 会長 中川貴雄

 このたび、日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)は、2016年11月、一般社団法人に移行いたしました。これによって、学会は会員の皆様のために、より幅広く活動できるようになることと思います。

 1999年に発足した本会の目的は、日本におけるカイロプラクティックの医科学としての発展とカイロプラクティックを志す人たちの技術の向上と共に、カイロプラクティックによって人々の健康を守ることです。

 私が、アメリカでカイロプラクティックを学んでいた30年前のカイロプラクティックで一番欠けているといわれていたのは基礎的研究、臨床研究でした。EBM (Evidence Based Medicine 科学的根拠に基づく医療)といわれるものです。元々、カイロプラクティックは、個々の患者に合わせて検査を行い、それに基づいた治療を行うNBM (Narrative Based Medicine)が主体でした。様々な症状で苦しんでいる人々をカイロプラクティックの技術で治すことが最重要課題であると考えていたからです。これは医療として最も重要なことで、アメリカ国民に認められていました。しかし、医療界では、EBMの確立が必要不可欠なことでした。このEBMがアメリカのカイロプラクティックに欠けていたものでした。現在では、カイロプラクティックはその欠点を克服し、EBMとNBMのバランスがとれた、よりよき医療として大きな発展を続けています。

 新生「一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会」は、世界のカイロプラクティックと同様に、会員の研究活動とともに臨床経験豊かな先生をお招きして研修を行い、会員の知識そして技術の向上に努めます。

 カイロプラクティックは、学べば学ぶほど興味深く素晴らしいものです。また、学べば学ぶほど、苦しんでいる方々をその苦しみから解放することのできる技術です。その素晴らしいカイロプラクティックを「一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会」はめざしています。

 これからの日本のカイロプラクティック発展のため、また、さらなる知識と技術向上のため、会員各位のご指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会
会長 中川 貴雄

副会長挨拶

日本カイロプラクティック徒手医学会 副会長 事務局長 木村 功

 1999年に発足した日本カイロプラクティック徒手医学会も昨年10月に一般社団法人に移行いたしまして、会務形態が大きく様変わりいたしました。

 法人化に至るまでには紆余曲折があり、多くの役員の先生方に多大な努力をして頂き、やっと辿り着いたと言う感じです。従来のやり方をそのまま踏襲できない部分も多々ありまして、現在も会員の皆様にわかりやすいシステムづくりを目指し、役員一同鋭意努力しております。

 現在の役員は代表理事・会長として中川貴雄DC、また理事としては副会長・会計に伊藤彰洋DC、副会長・編集委員長に荒木寛志先生、副会長・事務局長として私木村功、広報・企画として伊澤勝典先生の5名と櫻井京DC、小倉毅DCのお二方に監事をお願いしております。そして任意団体であった時の評議員の先生方は丁度改選の時期でしたので、入れ替わりもありましたが、法人の代議員に就任して頂き、会務を担って頂いております。

 法人化は大変でしたが、これはそもそもスタートラインについたにすぎません。学会が今後発展して行く礎としての法人化ですが、最も大事なことはカイロプラクティック業界の発展です。理学療法士や放射線技師など医療業界は言うに及ばず医業類似行為である柔整や鍼灸も、その業界に特化した単独の全国規模の学会を有しております。私の調べた範囲では大工さんの学会は見当たりませんでしたが、鍛冶屋さんの学会はあるようです。職人さんは、いわゆる匠の世界では個人の技量が全てですので、学術活動をすると言う素地がないのかもしれませんが、技術の向上や安全性などを広く業界で一般化するためには学術活動による各人の研鑽と共有が最も早道であり、そう言った形の学問と技術が融和した学会も見られます。それぞれの業界を挙げての科学的な根拠に基づく自主的な取り組みを行うことで、社会的な信頼も得られます。学会活動というと敷き居の高いもののように思われがちですが、実は我々の身近な現象に対する考察の積み重ねだと言えます。

 言い換えれば、カイロプラクティックの立場から臨床現象をわかりやすく説明していくことが必要な訳で、単に現代科学的な視点でカイロプラクティックを説明するのではなく、カイロプラクティックが現代科学では説明しきれないということを説明することも大事だと思います。
日本国内での学術活動と全国の臨床家の学会参加は、国内においては技術の裏付けとなる研究活動の継続により信頼性・安全性の向上に結びつき、世界的に見れば日本にはカイロプラクティックの公的資格やそれに則した国家公認の教育機関はなくても、日本のカイロプラクティックの臨床家は日々カイロプラクティックの学問的な研鑽をたゆまず行なっていると言う点で誇れるものになると思います。この積み重ねはいずれ世界的にも通用する日本独自のカイロプラクティックの体系化につながると考えております。また、自分たちの施術の根幹を他者の研究に任せるだけでなく、自分たちで作り上げて行くという取り組みをし続けると言うことが、今後のカイロプラクティックの発展になくてはならないものと思います。

 例えば、多くの先生方が日々の臨床で非常に有効であった手技だけでなく、ヒヤリとしたような症例や現代医学では説明できないようなカイロプラクティックの独自な観点からの観察方法の提示など多くの知見を学術大会で発表し、論文化して残すと言う作業は非常に地道で日々の臨床自体にプラスにならないように思えますが、その知見を先に理学療法士が論文化してしまうと、おそらく理学療法として認知されることになるでしょう。
そもそも科学的に証明されれば、定説となって不変なものになるというのは幻想で、明日間違いを指摘されひっくり返されるかもしれないのが科学的証明です。例えば、静的なストレッチはその昔競技を行う前にした方がケガも少なく動きも良くなるというようなことを言われていましたが、今では競技前に行うとパフォーマンスが落ちるというのが定説で、人によっては筋紡錘の反応が悪くなって返って怪我をするとか言う指摘もあります。しかし、一方で継続して静的なストレッチを行うだけで数週間後には筋の瞬発力・持久力共に向上するという報告もあったりします。将来的にはもしかして動的ストレッチに静的ストレッチをなんからの手順で取り入れた方がパフォーマンスが上がるとかいう報告がなされて静的ストレッチを運動前にするようになるかもしれないのが科学なわけです。

 また、科学的というと対象を細分化して還元的に考えるように捉えがちですが、システムという概念にたてばシステム全体として捉えないとシステム自体の働きはわかりません。全体を見なければ本質がわからないというものも科学の対象であるわけです。カイロプラクティックの人体概念は現代医学のそれと葉根本的に異なります。それがゆえにカイロプラクティックの存在意義があるわけですから、単純に現代医学寄りの説明を行うのではなく、カイロプラクティック独自の論理展開がこれからは重要になって行くと思います。例えば、鍼灸の経絡や腱引きの筋(すじ)のように現代医学にはない、あるいは証明できない概念であっても、それを端的に現代医学の用語に置き換えるのではなく、カイロプラクティックからの説明と其れを現代医学敵に見たときの説明の両方をしていくことが肝要ではないかと思われます。そうすることでカイロプラクティックはカイロプラクティックとしてこれからも存続できるのではないかと考えます。

 カイロプラクティックのアプローチには、現代医学にはない特異な発想と手技があるわけですから、それらを会員の皆様と掘り起こしてきちんと社会に認知される形で提示して行くことが学会の責務であると思います。
それだけでなく、年に一度の学術大会では日本各地の先生方と一堂に会して語り合うことは大きなインスパイアになりますし、出来得れば業界のすべての皆様とこのような学会活動を通じて一緒に前に進んでいければ、カイロ業界もさらなる発展を遂げることができると確信しております。
日本のカイロプラクティックの明るい未来を築くためにも、一人でも多くのカイロプラクティック臨床家の先生が学会活動に参加して頂けますことを切に望みます。

一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会
副会長 事務局長 木村 功