日本カイロプラクティック徒手医学会 JSCC

学術大会

第8回学術大会

開催日:
2006年09月02日(土)03日(日)
会 場:
品川区立総合区民会館(きゅりあん)
テーマ:
痛みへのチャレンジ
基調講演
頭痛・肩こり・痛みのプライマリ・ケア
横浜市病院経営局総長兼横浜市立脳血管医療センター長 植村 研一
特別講演
脳脊髄液減少症の診断と治療
国際医療福祉大学附属熱海病院脳神経外科教授 篠永 正道
一般公開
ホリスティック医学への長い道程-痛みからの解放を超えて-
帯津三敬病院名誉院長 帯津 良一
ワークショップ
◇内臓位置異常に対するSOTの対処法
◇コヤナギカイロプラクティック院長 小柳公譽

特別講演(2題)
2日(土)13:40~15:00
◇頭痛・肩こり・痛みのプライマリ・ケア
◇横浜市病院経営局総長兼横浜市立脳血管医療センター長 植村研一
uemura

頭痛・肩こり・痛みは極めて好発症状であり、かつ心身症などのように全く生命の危険のないものから、クモ膜下出血や脳腫瘍のように生命の危険があり誤診が許されないものまで含まれているので、そのプライマリ・ケアには慎重でなければならない。まず頭痛について、クモ膜下出血や脳腫瘍などの生命の危険のある頭痛を簡単に鑑別できる問診上の注意点を解説し、ついで偏頭痛・筋収縮性頭痛など最も多い頭痛の特徴と、そのケアのポイントを解説する。さらに痛みやしびれの病態生理学とその治療法は近年目覚しい進歩をとげたので、それに基づくケアのポイントについて解説する。

3日(日)13:55~15:05
◇脳脊髄液減少症の診断と治療
◇国際医療福祉大学附属熱海病院脳神経外科教授 篠永正道
shinonaga

交通事故後のむち打ち症後遺症として頭痛、頚部痛、手足のしびれ、めまい、耳鳴り、目のかすみ、不眠、記憶力低下、倦怠など多彩な症状で苦しんでいる患者さんが多数おられます。薬物治療や理学療法等での症状改善は限界があり、心身症や補償金目当ての仮病などが症状長期化の原因とされてきましたが、多くは持続的な脳脊髄液漏出による脳脊髄液減少が原因であることがわかってきました。脳MRIで髄液減少所見が、RI脳槽シンチやMRミエロで髄液漏出所見がみられることより診断ができます。診療は2週間程度の臥床安静、十分な水分摂取が有効で、これで症状が改善しない時は脊髄硬膜外に自家血液を注入するブラッドパッチ治療を行うと1年以内に約7割の患者さんに症状改善が得られます。スポーツ外傷や転倒・転落・出産後にもこのような病態が生じます。これまで低髄液圧症候群と称されていましたが、髄液圧が正常な例も多く脳脊髄液減少症の病名を提唱しています。

3日(日)15:15~16:25【一般公開】
◇ホリスティック医学への長い道程 -痛みからの解放を超えて-
◇帯津三敬病院名誉院長 帯津良一
obitsu

私の本業はホリスティック医学である。ホリスティック医学とは、からだ・こころ・いのちが一体となった人間まるごとをそっくりそのままとらえる医学である。道程(みちのり)は遠い。その道程のなかにはさまざまな出会いがある。ホメオパシー界の第一人者G・ヴィソルカス氏は健康の定義のなかで痛みから(FROM)の解放を唱え、伊那谷の老子加島祥造氏は痛みのなかで(IN)の解放を唱える。いずれも現場の知に裏打ちされた含蓄のある言葉だ。ホリスティック医学への長い道程について語りたい。

ワークショップ(1題)
2日(土)15:10~16:20
◇内臓位置異常に対するSOTの対処法
◇コヤナギカイロプラクティック院長 小柳公譽
koyanagi

内臓がその機能を正常に遂行するためには、自由に動けることが必要である。その一方で、身体の歪みが自由度の高い可動性を持つ内臓を変位させ、その変位が各種症状の原因となり、それ等がまた歪みを悪化させるという悪循環を作っている。我々は最高のアジャストメントに加えて、内臓に対するアプローチも知っておくべきだと思う。今回はSOTから「内臓位置異常」という切り口で、治療の有効性をお伝えしようと思う。

大会長挨拶
かすやカイロプラクティック院長 粕谷隆平
今年は大会テーマとして「痛み」という大変大きなテーマに取り組んでみました。痛みに対する臨床でのさまざまなアプローチを発表して頂き、それについて議論することで、自身の治療法との共通点や異なる点を認識し、自らの治療法をさらに広げたり、深めていくことに役立てて頂きたいと思っております。特に今大会では、質疑応答の時間を従来より長く取っておりますので、皆様の活発な議論を期待しております。