日本カイロプラクティック徒手医学会 JSCC

学術大会

第9回学術大会

開催日:
2007年09月08日(土)09日(日)
会 場:
テーマ:
歩行と運動 -カイロプラクティックにおける全体性と内在秩序-
基調講演
生命の「科学」と治療的介入
東洋大学文学部哲学科教授 河本英夫
特別講演
腰痛の診断と治療 -McKenzie法の有用性-
関病院整形外科部長  穴吹弘毅
一般公開
常歩(なみあし)式 身体動作上達法
京都大学高等教育研究開発推進センター教授 小田伸午
ワークショップ
◇歩行に与える身体の特性って…
◇スポーツマッサージ 五体治療院代表 小山田良治

基調講演(1題)
8日(土)13:10~14:30 
◇生命の「科学」と治療的介入
◇東洋大学文学部哲学科教授 河本英夫
kawamoto
科学の限界において展開されている3種類の「科学的構想」を手掛かりに、 カイロプラクティックの可能性を考察する。素材となるのは、カオス力学、 オートポイエーシス・システム論、認知運動療法である。カオス力学では、 生命のような活動態は3,12次元、3,24次元のような非整数次元で存在 している可能性が高い。オートボイエーシスでは、構造の歪み、欠損が自己治癒力を低下させる仕組みをそのまま表している。認知運動療法では、 因果関係とは異なる科学性の確立を行っている。これらはいずれも既存の科学性には収まらないが、にもかかわらず科学の範囲を拡張しながら 構想を展開できている。

特別講演(2題)
8日(土)15:10~16:30
◇腰痛の診断と治療 -McKenzie法の有用性-
◇関病院整形外科部長  穴吹弘毅
anabuki
1950年代にニュージーランドの理学療法士であるMcKenzie氏が急性腰痛患者(腰椎椎間板ヘルニア)に対する伸展療法を開始して半世紀になる。日本では腰痛患者にたいして主にWilliams体操が流行し、腰椎椎間板ヘルニアに対しても屈曲体操が当然のように行われてきた。いまだに腰椎椎間板ヘルニアの患者にたいしてEBMのない腰椎牽引治療が保険治療にて継続的に行われているのが現状である。腰痛に対する診断・治療にMcKenzie法を導入した新たな治療体系をご紹介したい。そして、このMcKenzie法が腰痛治療のスタンダードになることを願っている。

9日(日)10:14~12:00【一般公開】(無料)
◇常歩(なみあし)式 身体動作上達法
◇京都大学高等教育研究開発推進センター教授 小田伸午
oda
本講演では、スポーツ科学の知識を学ぶことと同時に、モーリス・グリーン選手(100m)・イチロー選手・室伏広治選手(ハンマー投げ)などのスポーツ選手の持つ身体知について紹介します。常歩(なみあし)というウマの歩き方から感じ取った走歩行感覚を基盤にして、世界一流選手の動作の特徴について、スポーツ科学の側面と、動作感覚の両面から解説します。本講演は、からだの使い方に関してつぎのように思っている方に特に聞いていただきたいと考えています。
1)バスの中で立っていて、後ろに倒れそうになったとき、ふくらはぎの筋肉が活動すると思っている人。2)地面を強く蹴って、モモを上げて、歩幅を伸ばす意識で走れば速く走れると思っている人。3)サッカーでボールをキックするとき、支持脚を球に合わせて、支持脚にしっかり体重をかけるべきだと思っている人。4)クロールのかく動作は、引く動作だと思っている人。

ワークショップ(1題)
9日(日) 14:30~15:50
◇歩行に与える身体の特性って…
◇スポーツマッサージ 五体治療院代表 小山田良治
oyamada
昨年の2月より、ブログ「常人歩人って…」をweb上で公開しております。
今回、タイトルにブログと同じ「って…」を使わせていただきました。 ワークショップというより、普段わたくしが治療院で選手たちと話をする空間をそのまま会場へ持っていきたいと思います。 頭で考えるのではなく、身体を動かして身体で考えてみてください。 身体で考えたことは、きっと手足が表現してくれると思います。 表現方法は、みなさんの自由です。 ご自分の創造性を生かして表現していってください。 その表現方法の手助けができれば、幸いでございます。

大会長挨拶
和田整形外科・外科医院/木村整骨療法研究室室長 木村 功
今年の大会テーマは「歩行と運動」と言う実践的なものに取り組みました。人体の基本運動でもある歩行を足がかりに、メカニズムだけでなくオーガニックな人体のシステムを考察し、その原理を探ることにより臨床における観点を広げ、能力を深めることに役立てて頂ければ幸甚です。サブテーマの「カイロプラクティックにおける全体性と内在秩序」は、見えないものを観ると言う意味合いがあります。我々の求めるべき患者さんの健康とは何か、皆様と一緒に考えていくことができればと願っております。また、今大会では特に一般講演の充実、及び当学会の特色でもあるポスターセッションにおけるミニワークショップ的色彩を更に強めていくことを模索しております。