日本カイロプラクティック徒手医学会 JSCC

学術大会

第10回学術大会

開催日:
2008年10月12日(日)13日(月)
会 場:
日本赤十字社ビル
テーマ:
ケアの本質-徒手医学からのアプローチ
基調講演
◇物語の医療学-NBMとEBM-
◇富山大学保健管理センター長・教授 斎藤清二
特別講演
◇食・栄養とストレス制御
◇徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授 武田英二
ワークショップ(2題)
◇痛みのケアを考える
◇守屋カイロプラクティックオフィス院長 守屋 徹

◇腰痛と生活動作との関連
◇カイロプラクティックオフィス すこやか院長 馬場信年
パネルディスカッション
会長、大会長、ワークショップ演者、さらに会員の臨床家をパネラーに、ケアに対する考えや理想のケアについて述べていただき、会場の参加者との意見交換も図ります。(座長=大藤晃義・サレジオ工業高等専門学校教授)

基調講演
12日(日)10:00~11:10 
◇物語の医療学-NBMとEBM-
◇富山大学保健管理センター長・教授 斎藤清二
saito
NBMは1998年英国において提唱された、全人的医療を目指すムーブメントである。NBMは、患者の「病いの体験の語り」を最も重要なものとして尊重するが、「医療者の物語」をもまた重要なものと考え、実践の現場での医療者と患者の複数の物語の摺り合わせのプロセスを重視する。このような実践においては、臨床疫学的なエビデンスもまた、「臨床に有用な一つの物語」とみなされ、医療者と患者との「今ここでの対話」に取り込まれる。EBMとNBMは「患者中心の医療を実践するための車の両輪」であると言える。

特別講演
12日(日)13:30~14:40
◇食・栄養とストレス制御
◇徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授 武田英二
takeda
急激な環境変化などのストレスに適応し生存するために生体反応がみられる。過度のストレス反応は、細胞傷害性サイトカインや活性酸素・フリーラジカルなどの過剰産生を引き起こし、身体疾病発症の引き金となる。同時に、ストレス反応は食欲不振、 拒食、過食などの摂食障害を含めた行動心理面に多大な影響を与え、その結果、抵抗力の低下あるいは生活習慣病を発症させる。講演では、食事や嗜好品の摂取が、生活リズムを刻み、こころの安らぎを与え、ストレス軽減に関与することを解説する。

ワークショップ(2題)
13日(月)9:30~10:50
◇痛みのケアを考える
◇守屋カイロプラクティックオフィス院長 守屋 徹
moriya
今大会のテーマである「ケアの本質」の視点に立って、徒手療法の臨床の現場で扱う頻度の高い「痛みのケア」について考える機会にしたい。痛みは今世紀初頭における医科学の最優先研究課題でもあり、未だに不明な領域とされている。改めて痛みの概念を再認識しながら、臨床における痛み評価の問題や、特に根性痛や慢性痛とされる痛みへの理解と、こうした痛みに苦しむ患者さんのQOLを高めるための対応を考えてみたいと思う。

13日(月)14:30~15:50
◇腰痛と生活動作との関連
◇カイロプラクティックオフィス すこやか院長 馬場信年
baba
腰痛では、主に生活動作における不自由さを様々に訴えられる。筆者はこのような訴えと腰痛との関連を観察し評価することが腰痛評価の一方法として有用と考え、先ず九州カイロ同友会会員の協力を得て経験に基づく訴えを収集し、類似を整理し調査表を作成した。腰痛で来院した者を対象に初診時と緩寛時に調査表への記入を依頼し、その変化を分析した、また対照群として非腰痛者と思われる者にも調査表への記入を依頼し回収した。その結果について報告する。

パネルディスカッション
12日(日)15:40~17:00
会長、大会長、ワークショップ演者、さらに会員の臨床家をパネラーに、ケアに対する考えや理想のケアについて述べていただき、会場の参加者との意見交換も図ります。(座長=大藤晃義・サレジオ工業高等専門学校教授)

大会長挨拶
◇西島病院リハビリ室勤務 櫻井 京

sakurai
今年は、疾患や生理的な作用機序への興味よりも、患者個人、患者との関係性を重視することをテーマにしたいと考えました。徒手医学にかかわる者は、科学的妥当性の重要性を理解しながらも、患者を1人の人間として全人的に扱いたいと思っているでしょう。また、バイオメカニカルな問題を扱いながらもその患者の持つ病の解釈モデルを理解しないことには変化が望めないこともあるでしょう。そのようなケアの奥深さを様々な角度から考察できればと思います。今回は久しぶりにパネルディスカッションがあり、参加者との交流、議論を深める機会となればと思っております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。